私達の豊かな暮らしを成り立たせている生物多様性は、あらゆる環境問題の中で最大の危機に直面しています。この講義では生物の進化と危機を、14世紀から博物館などに蓄積されている植物標本と国際データベースから読み解きます。一番目に、モデル植物・シロイヌナズナに最も近縁なミヤマハタザオは、低地と高地で著しく寿命を変えて適応進化していました。二番目に、日本の植物2339種の分布に対し地球温暖化が既に広範な影響を与えていました。生物標本は人類の知的資産であり、生物の進化と危機を私達に伝えてくれます。
データサイエンス講義導入:植物標本データが伝える生物の進化と危機
講義概要
プロフィール
- 田中 健太 生命環境系・山岳科学センター
- 熱帯雨林の研究で、博士号取得(京都大学)。北海道大学、英国シェフィールド大学の研究員を経て、現在、筑波大学・准教授。山・森・草原をフィールドとして、動けない植物が環境に適応して世代を更新する仕組みなど、生物多様性の進化やその保全方法を、研究・教育している。技能:ロープ木登り、山スキー、葉による草木の同定、1000検体程度の中規模DNA解析。
Received doctorate in Kyoto University for the research of tropical rainforest. After working as a researcher at Hokkaido University and the University of Sheffield, currently working as an associate professor at the University of Tsukuba. For the fields of mountains, forests, and grasslands, studying the mechanism by which immobile plants adapt to the environment and renew their generations. Also conducting research and education on the evolution and the conservation of biodiversity. Skill: tree rope-climbing, mountain skiing, plant identification by leaves, medium-scale DNA analysis of about 1000 samples.