病院とアート

アートが病院と出会う~筑波大学の環境が生み出したコラボレーション

筑波大学は国立大学で、芸術系の学部と医学系学部(および大学病院)が併設されている稀有な環境にある。
さらに、芸術系の学部のみならず、全学部の共通履修可能科目として「芸術」があり、その中で先進的な取り組みである、大学を開くアート・デザインプロデュース演習(ADP art design produce)という科目がある。
アートとデザインに何が出来るのか。社会との関わり、実践的な視点からアートとデザインの可能性について、プロジェクトのプロデュースを通して考えるというこの演習のテーマは、芸術系の学科と大学病院の連携によって生み出されてきた成果に基づいている。
筑波大学附属病院および筑波メディカルセンター病院の協力のもと実施された、アートとデザインによる社会貢献のプロジェクト型の実践的な教育は、文化庁の助成プログラム「いきいきホスピタル」にも選択され現在も続いている。

・入院患者の生活にワークショップなどのアート体験を提供
・病院の建築空間などの造形・デザインを快適なものに
・アーティストの活動の場としての病院
・患者のメンタルなケアを支援する活動

これらの取り組みは筑波大学独自の取り組みであり、海外からも注目されてホスピタルアートの先進国であるイギリスでメソッドを紹介するまでに至っている。イギリスではすでに病院でのアートマネジメントの専門ビジネスが存在しているが、日本にはまだ事例が少ない。この取り組みを経て育った学生が職業としてのアートコーディネイターの道に進んでいる。

本特集は実際にどのような学びが行われているのか、以下のプロジェクトを推進、実施してきた教員・学生のインタビューを通じ紹介していく。