データサイエンス講義

概要

筑波大学では、平成31年度10月より、情報教育に関する共通科目として「データサイエンス」を開講しました。「データサイエンス」の授業では、データサイエンスの基礎的概念を理解し、コンピュータを利用した基礎的なデータ分析技術を学ぶことを目的としています。データの収集、データの管理、データの可視化、データの分析を通じて、データの理解と活用の手法を実践的に習得し、先端的なデータサイエンスの事例に触れ、社会におけるデータの具体的な活用について理解することを目指します。本サイトでは、各学問分野におけるデータの収集、管理および活用について学ぶために使用するビデオ講義を公開しています。

目次

導入

 

高度なデータの管理と活用

 

発展

導入:ヒューマンインタラクション

  • 筑波大デジタルネイチャーグループ(落合陽一研究室)では,計算機基盤の上に成り立つ現代社会以後のメディア研究のために,単なる表示器上のやりとりを超えて,HCI・CG・CGH・触覚・VR・機械制御・デジタルファブリケーションなどの融合領域の研究を行っています.人の性質をモデル化し,数値解析とシミュレーションによって情報通信の問題として定義することで,人と計算機の共存する生態系を目指しています.そのために空間での光や音とのインタラクションや,触覚応用など,レーザーや強力超音波,磁場制御などを用いた研究から,人間の行動制御に関する研究にいたるまで,弊ラボの掲げるデジタルネイチャーに向かって研究しています. 落合 陽一   筑波大学 図書館情報メディア系・メディア創造分野

導入:臨床医学・社会医学とデータサイエンス ーヘルスサービスリサーチの視点から

  • データサイエンスは医学3領域(基礎・臨床・社会)のそれぞれに応用しうる。医学の基礎研究である基礎医学ではゲノム解析など、一人ひとりの患者さんの診療を主とする臨床医学では画像診断のAI活用など多々あるが、本講義では、社会医学、中でも医療介護サービスの質に焦点をあてたヘルスサービスリサーチを中心とする。質の高いサービスの実現には、一人の患者さんが受診し、診療を受け、その後、介護も含めてどう経過していくかーという時間的な視点、そして、地域における各医療機関や介護サービスがどう機能しているか、質はどうかという空間的に広い視点の両者が必要である。それにはデータが必要である。社会医学の基本である疫学・統計についても触れ、わが国における医療介護ビッグデータの現状含め、今後のデータサイエンスに必要な考え方を解説する。 田宮 菜奈子   筑波大学 医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野

導入:現代サッカーボールの空力特性

  • 本講義では、現代サッカーボールの空力特性と飛翔特性について、風洞実験及びキックロボット実験から得られたデータを利用して解説する。 洪 性賛   筑波大学 体育系

導入:生命科学とデータサイエンス

  • この講義では生命科学においてデータサイエンスが必須になっていること及びその理由について説明する。 尾崎 遼   筑波大学 医学医療系

導入:デジタル・ヒューマニティーズ—人文学と情報学の接点が導く新たな知識の世界

  • 人文学と情報学の学際分野であるデジタル・ヒューマニティーズ(人文情報学)について、そのミッションといくつかの実践例、データサイエンスとの関わり等について述べる。 和氣 愛仁   筑波大学 人文社会系

導入:人工知能における 倫理的,法的,社会的問題

  • 本講義では人工知能における倫理的,法的,法的問題 (ELSI)について解説する.人工知能の研究ではどうやってデータを活用するかという問題に焦点が当てられているが,人工知能におけるELSIでは人工知能が人間社会で用いられたときに人間の権利が侵害されないかなどの問題を取り扱う.講義では,人工知能に関するELSIについてのガイドラインを中心に,これまで議論されてきたELSIについて解説する. 福地 一斗   システム情報系

導入:データ駆動型社会における津波高即時予測

  • 昨今、IOTで全ての人とものが繋がり、新たな価値を生み出すSociety5.0によるデータ駆動型社会に向けた取り組みが様々な分野で起きつつあります。本講義では、身近な話題として、津波高予測を取り上げます。この題材を通して、高度計測機器、大規模シミュ−レーションにデータサイエンスが融合することで、どうやってデータ駆動型社会実現が可能になるのかを学んでもらえればと思います。 五十嵐 康彦   システム情報系

導入:サッカーの上達にデータを生かす

  • サッカーに関連する研究を紹介し,「ゲーム分析」,「GPSデータ」,「脳波」,「眼球運動」などそれぞれの研究で使われたデータの収集法や分析方法について概観する。 中山 雅雄   体育系

導入:データサイエンスと社会科学

  • この講義では、社会科学分野での研究例を示しながら、データサイエンスが社会科学でどのような役割を果たすのか、また将来どのようなことが可能になるかを概説する。専門外の学生にも分かるように、グラフや動画を使って説明する。 内藤 久裕   人文社会系

導入:セシウム137全球データベースおよび環境放射能データの検索と公開サイト

  • 過去に報告されている海洋、大気、土壌の人工放射性核種のデータを国内外から収集し、データベースを構築した。北半球に降下したセシウム137総量は765+-79 PBqとなり過去の国連科学委員会報告の545 PBqより40%多かった。セシウム137の降下量の空間分布も明らかになった。
    構築したデータベースの中で海洋の部分は、国際原子力機関の海水中放射能データベースに提供し、他のソースと合わせて全球規模の海水中放射能データベースの構築に寄与した。筑波大学アイソトープ環境動態研究センターは、福島事故関連の環境放射能データをDOIを付けて公開するとともに、外部で既に公開されているデータも合わせて串刺し検索が可能なデータベースサイトを提供している。 
    青山 道夫   生命環境系

高度なデータの管理と活用:ビッグデータとIoT/CPS

  • 大量のデータを収集・分析することで、これまでにない新たな知見や知識を発見し、社会・組織・業務を改善するビッグデータの手法が広く用いられている。また、ビッグデータ分析を実現する情報システムとしてIoT(Internet of Things)やCPS(Cyber-Physical System)が注目されている。本講義では、ビッグデータやIoT / CPSについて概要を述べるとともに、それらを支える情報システム、また、ビッグデータ活用における問題点について解説する。 天笠 俊之   筑波大学 計算科学研究センター

発展:仮説検定入門

  • 仮説検定の入門的講義を行う. 小池 健一   筑波大学 数理物質系(所属は公開時)

導入:言語教育にデータはどのように活用されるのか

  • 本講義では,言語教育(主として外国語としての英語教育)におけるデータの活用について概説する。まず,言語教育に関わりのあるデータについて説明し,それが教授や学習,評価おいてどのように活用されるかを概観する。その後,データの実例として語彙データベース,母語話者データ,学習者データを取り上げ,その簡単な使用法を実演する。最後に,データの応用的な活用事例として,英文評価,学習支援ツール,英文理解プロセスの解明について説明する。 名畑目 真吾   筑波大学 人間系

導入:「芸術とデータサイエンス」ーみえないものをみるー

  • 芸術専門学群の皆さんにとって、データサイエンスというのは縁遠い、または、できれば避けて通りたかった分野かもしれません。コンピューターを使った分析と聞いただけで距離を取ってしまう事も。
    しかし、皆さんは鉛筆と同じくらいスマートフォンを片手に持って、毎日のように小さなコンピューターを使って生活しています。身近な道具のはずですよね。そこで本講義では、芸術専門学群の皆さんにとってのデータサイエンスについて、その接点や考え方について説明します。 山田 博之   芸術系

導入:「心」のデータ:行動デザインの視点から

  • 筑波大学行動デザイン研究室では,応用行動分析学を基礎とし,対人相互作用の記述・予測・制御に向けて,最新の行動計測技術を活用した行動デザイン研究を推進しています。本講義では,社会性の障害によって特徴づけられる,自閉スペクトラム症のある子どもを対象とした研究を主な例として,いかに,科学的・客観的なデータを通じて心的現象を明らかにしていくか,解説します。 松田 壮一郎   人間系

導入:植物標本データが伝える生物の進化と危機

  • 私達の豊かな暮らしを成り立たせている生物多様性は、あらゆる環境問題の中で最大の危機に直面しています。この講義では生物の進化と危機を、14世紀から博物館などに蓄積されている植物標本と国際データベースから読み解きます。一番目に、モデル植物・シロイヌナズナに最も近縁なミヤマハタザオは、低地と高地で著しく寿命を変えて適応進化していました。二番目に、日本の植物2339種の分布に対し地球温暖化が既に広範な影響を与えていました。生物標本は人類の知的資産であり、生物の進化と危機を私達に伝えてくれます。
    田中 健太   生命環境系・山岳科学センター

導入:障害科学におけるデータに基づく意思決定

  • 障害のある人々への具体的なサポート、その基盤となる基礎的な研究を通して、人間の本質そのものを探究する学問が「障害科学」である。障害科学にデータが必要とされる理由や社会の側にある障害に焦点を当てるデータの性質を取り上げ、「障害」という言葉に関係するデータの繊細な取り扱いや「外れ値」としての障害の見えやすさ・見えにくさを解説する。そして、研究の文脈のみならず、データを実践現場で用いる「データに基づく意思決定」について福祉施設における事例を紹介する。 佐々木 銀河   筑波大学 人間系

導入:生物科学研究におけるデータサイエンス-発生生物学研究を例に-

  • 本講義では、生物化学研究におけるデータサイエンスの重要性について、シングルセルトランスクリプトーム解析を用いた発生生物学研究を例にして解説する。 堀江 健生   生命環境系下田臨海実験センター

導入:SNS活用の分析におけるデーターサイエンスの活用

  • この講義では、筑波大学・インテル社・つくば市の3者連携プロジェクトで地方自治体と市民社会の連携を強化するために、SNSコミュニティー(フェイスブックコミュニティー:つくば市民活動のひろば)を構築した。プロジェクト実施中、特定時期においてコミュニティー活動の低下の問題に直面し、その解析・解明のために用いたデーターサイエンス的研究手法を紹介する。 海後 宗男   筑波大学人文社会系

導入:AIと制御の融合によるロボットの高速汎用物体操作

  • 本講義では、実世界環境の物体をロボットが操作するための機械学習の応用例について紹介する。AIを用いてロボットを制御すれば容易にロボットが人間並の作業をできると思われがちであるが、これはなかなかに難しい。どのようなデータを用いればロボットを適切に操作できるのか、という実応用を通してデータを利活用するための問題意識と解決策を解説する。 境野 翔   筑波大学 システム情報系

導入:都市計画とデータサイエンス

  • 本講義では、都市計画におけるデータサイエンスの役割について解説する。人口・土地利用からの課題の可視化、良好な住環境を備えた住宅地づくり、人流データからのCOVID-19の影響の把握、高齢化が進む団地での団地再生など、生活に密着した課題や場所を対象に、現地調査やインタビュー調査などによる現状分析、都市計画制度等の課題整理、社会実験による検証、まちづくり提案について紹介します。 藤井 さやか   筑波大学 システム情報系

導入:ビジネスとデータサイエンス

  • 本講義では、ビジネスにおけるデータサイエンスの役割について解説します。地域企業・旅館である筑波山江戸屋におけるデータを活用したマーケティング手法の検討、非営利の地域金融機関である水戸信用金庫における営業支援AIの試みなど、実事例を紹介しながら、実験的なエビデンス経営や経営情報システムの革新による経営管理システムの高度化について説明します。 岡田 幸彦   筑波大学 システム情報系

導入:だめな事例から学ぶデータ可視化のテクニック

  • データ可視化とは、データを人に見せるために表現を変えることです。データの視覚的表現を人に見せることで、データの理解、発見、洞察を助けることが可能になります。しかしながら、そのような目的に役立たないダメな可視化を見掛けることも多々あります。この講義では、ダメな事例を通して、人間の視覚特性、対象データ、視覚的な表現手法の関係を紹介し、それらの関係を意識することの重要性を説明します。
    三末 和男   筑波大学システム情報系情報工学域

導入:化学とデータサイエンス -化学はデータ科学でどのように変わるか?-

  • 化学の研究にデータサイエンスの手法を取り入れる試みは、近年極めて活発に行われている。本講義では、データサイエンスをどのように化学の研究に活用できるかを、具体例を交えて解説する。 田中 大輔   関西学院大学理学部化学科

高度なデータの管理と活用:人工知能と機械学習

  • 本講義では人工知能と機械学習の基礎について解説する。いまの人工知能に何ができてどういう場面で活用されているのかを紹介する。また、大量のデータからルールを学習する技術である機械学習について、その仕組みを紹介する。 馬場 雪乃    東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻