これからの社会に求められる人材を育成する、3つの育成目標 エンパワーメント情報学プログラム
プロフィール
- 岩田 洋夫 筑波大学 システム情報系 教授
- 1986年 東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)、同年筑波大学構造工学系助手。現在筑波大学システム情報系教授。バーチャルリアリティ、特にハプティックインタフェース、ロコモーションインタフェース、没入ディスプレイの研究に従事。SIGGRAPHのEmerging Technologiesに1994年より14年間続けて入選。Prix Ars Electronica 1996と2001においてインタラクティブアート部門honorary mentions受賞。2001年 文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞。2011年 文部科学大臣表彰 科学技術賞 受賞。2013年より、文科省博士課程教育リーディングプログラム「エンパワーメント情報学プログラム」リーダー。2016年より、日本バーチャルリアリティ学会会長。
- 鈴木 健嗣 筑波大学 システム情報系 教授
- 1997年早稲田大学・理工学部・物理学科卒。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学理工学部応用物理学科助手、筑波大学講師、准教授を経て、2016年筑波大学教授。現在に至る。 1997-1998年、イタリア、ジェノヴァ大学工学部(音楽情報研究室)客員研究員。2009年、フランス、カレッジ・ド・フランス(知覚・運動生理学研究室)客員研究員。専門は人工知能、拡張生体技術、サイバニクス。
これからの社会に求められる人材を育成する、3つの育成目標
エンパワーメント情報学プログラムの最大の特徴は、その内容・人材の多様さだけではなくすべての活動がキャリアパスの出口を見据え、ビジネスの現場で活躍する多様な人材を育成・輩出している点にある。当プログラム設立の背景について、岩田先生は次のように語っている。
岩田先生
「これまではアカデミアでより専門性を高めるという試みはたくさん行ってきたわけなんです。しかし、それだけでは足りない。つまりアカデミアのキャリアパスっていうのは残念ながら非常に限られているわけです。一方、企業ではなかなか活躍してる博士学生は少ないという現状があって、それを打開しようという目的のもとに立ち上がったいうのがこの博士課程教育リーディングプログラムだったわけです。」
「博士の学位論文に相当する専門的な研究に加えて、実践力を身につけるような訓練を積んでるというのが、この学位プログラムの最大の特徴とも言えるわけです。」
ビジネスの現場で研究成果を活かす“実践力”を身につけるため、人材育成の目標として掲げられたのが
「分野横断力」・・俯瞰力と独創力に裏打ちされた、多角的で複眼的な思考力
「魅せ方力」・・直感力と理論武装力を基盤として、グローバルな舞台で活躍する
「現場力」・・産官学にわたる実問題の解決能力を有し、活躍できる
の3つである。
学内研究指導教員の鈴木先生はそれぞれの力について次のように語ってくれた。
鈴木先生
「エンパワーメント情報学プログラムでは、人材育成の目標として3つ定めています。
ひとつが分野横断力。これは自身の分野だけではなく、より俯瞰的な視点を身につけるために様々な分野の人たちと交流して、様々な分野のことを学ぶことによって自身の中で視野を広くするという力を養うこと。」
「次は魅せ方力。プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力に近いものでありますが、人を魅了するという意味の魅せ方力とは、単にプレゼンテーションを綺麗にするとか単に着飾ると意味ではなくその本質をいかに端的に捉えて、それを伝える力を持つかということ。これを魅せ方力と呼んでいます」
「そして現場力というのは、このように社会に実装するような研究は、自分たちの中の研究室の中だけではなく、社会と密接に関わって研究・実装していく力が必要になります。この時に特に必要なのがリーダーシップであったりアントレプレナーシップです。いかに自分の進めたいことに人を巻き込んで、それをみんなの力とするという力。これを現場力と呼んでいます。」