インターンで発揮される実践力。研究を社会で活かしていく。 エンパワーメント情報学プログラム

プロフィール

佐藤 綱祐
筑波大学 エンパワーメント情報学プログラム

インターンで発揮される実践力。研究を社会で活かしていく

エンパワーメント情報学プログラムで磨き上げた「分野横断力」「魅せ方力」「現場力」は実社会での実践的な力として発揮される。佐藤さんは自分の専門研究以外の分野に飛び込んだが、すぐに自分の能力を活かせる道を発見できたようだ。

Q:どんな企業でどのようなインターンをしていたのか

A:富士通の研究所である富士通研究所に入らせていただきました。もともと研究テーマを決めていたわけではありませんでしたが、インターン先で基礎技術として液晶のタッチパネルに触覚を加えられるという技術が開発されていました。それを使ってどういうアプリケーションを作れるかというテーマがあったので、自分なりにそこから考えて、研究所の方と一緒に開発していました。具体的に作っていたものとしては、その触覚と学習を組み合わせて、ディスレクシア(知的能力及び一般的な理解能力などに特に異常がないにもかかわらず、文字の読み書き学習に著しい困難を抱える障害)の子どもたちに対して、通常のなぞり書き練習だけではなくて触覚を付与して新しい学習方法を提案するというデバイスを作りました。実際に評価実験まで行なって論文にまとめるといったインターンをしていました。

 

Q:エンパワーメント情報学プログラムでの学びはどう活かされたか。

A:大きく二つあると思っています。一つはエンパワーメント情報学プログラム自体が、一つの専門性を追求するというものではなく、自分の専門を活かして広く学んでいくところを重視しております。自分自身の専門は触覚とか感覚的なところではなくて、ロボットとかスポーツの研究をやっているんですが、エンパワーメント情報学プログラムの幅広く学んでいくという力を今回のインターンでうまく適応できたのかなと思っています。
もう一つは、これもエンパワーメント情報学プログラムの特徴に「作ったものを見せて、使ってもらって、さらにまた開発に戻していく」というループを早くやるというところあります。今回のインターンでもそれができたのかなと思っていて、デバイスを開発して、実際にその書字障害のお子さんに使ってもらって、意見を拾って改良するというPDCAサイクルを何回も繰り返して初めていいものができたなと思っています。その2点がインターンとか実践の場で活かせたのかなと思っています。

 

Q:どのような場で実践できたのか

A:もともと富士通さんは色々コラボレーションをしていました。香川大学に障害児向けの学習に特化した研究をされてるところがあり、そことのコネクションがあったので、自分が作ったものを実際の書字障害の人に使ってもらうことができました。システムとしての評価に繋がりましたし、インターンの期間の中で論文を書く機会も与えて頂いたので、自分が作ったものと評価したものに対して論文を書いて、インターン期間中に投稿するところまでできました。

 

Q:書字障害のユーザーからの反応

A:非常によかったです。こんなにうまくいくものかなという結果が出ています。通常の書字学習の練習は、普通の紙に印字されている文字をただ黙々となぞっていくという学習で、最近だとタブレットとかスマホとかを使って楽しく学習できるアプリというのはできてきてはいるんですが、それでも子ども達は飽きてしまうというのが実際の現状としてはあります。それに触覚を付与するとすごく楽しそうに取り組んでいて、なおかつ学習時間も長いです。夢中になってやっているところが分かりましたし、綺麗になぞれるようにもなってきているんです。モチベーションだけじゃなくてしっかりとした学習効果も出てきているので、今後が楽しみな状況になっています。

 

Q:大学の環境と現場の環境を比べてどう思ったか

A:研究所の中に入ったので、比較的大学の研究室とも雰囲気としては似てるかなと思いました。自分はインターン生として入っていたので、色々と追われるものがないと言いますか、すぐに事業に役立つものを作らなければいけないといったプレッシャーがなかったので、比較的普段の雰囲気のまま研究ができたと思います。

 

Q:今後の目標、目指しているところ

A:今回のインターンの中身も、困っている人の問題を解決することでした。自分が持ってる知識とか自分ができる研究能力を活かして、困りごとを解決するものであったり、ハッピーであるものを作っていくことが自分自身のモチベーションとしてこれまでやってきています。どういった形でもいいので、社会に貢献することが自分のモチベーションに繋がっていて、それが誰かのお役に立っていくことに繋がっていけばいいなと思っています。