学生から見たEMP エンパワーメント情報学プログラム

プロフィール

酒井 友裕
筑波大学 エンパワーメント情報学プログラム

 

桑原 隆志
筑波大学 エンパワーメント情報学プログラム

 

西村 勇輝
筑波大学 エンパワーメント情報学プログラム

学生から見たEMP

ここでは、実際にエンパワーメント情報学プログラムを履修中の学生に集まってもらい、現在の状況や目標を語ってもらった。多種多様な人々との切磋琢磨や全編英語での授業など、多忙ながらも楽しみながら学生生活を送っている様子を垣間見ることができた。

Q:どのような研究をしているのか、そのモチベーションは

西村:
僕は今、移動ロボットの研究をしています。人が行けないような危険な環境とかに代わりに行って作業してくれるロボットを作っています。シミュレーションをして数式を使ってこんなロボットにしたら上手くいくんじゃないのかなと考えながら、実際にロボットを作って研究を進めています。自分の研究が誰かの役に立ったり、将来何かの研究分野で役に立ててもらえたら嬉しいなと思いながら毎日研究をしています。

桑原:
私はスポーツをすることも見ることも好きで、実際に小学生の頃から陸上競技をやっているのですが、同じ練習をしているのに記録の伸び方が違ったり、頑張って練習しているにもかかわらず怪我をしてしまうことがあります。スポーツには理想的な体の動きがあると考えているのですが、その理想的な動きを教えるのに、今はプロの方などが口頭で、主観的な表現でしか伝えることができていません。私はその動きというものを定量的に計測してより的確なアドバイスができるようなシステムを作る研究をしています。

実際に競技を自分で続けている中で、どんなに練習しても勝てない相手がいる時の辛さだったり、練習をやりすぎて怪我をしたりなど、自分が実際に辛い思いをしてきたことのがあるので、どうすれば今頑張っている人たちが、努力をより結果につなげることができるのかと考えて研究をおこなっています。

酒井:
私は認知症に関する研究をしています。認知症の大きな社会問題として、家族の介護者に負担がいってしまうという状況が現在起こっています。その負担の中でも、基本的には精神的な負担を軽減するための Web アプリケーションを開発し、使っていただくという研究しています。

この研究を選んだ理由は大きく分けると二つありまして、一つ目としましては母親が薬剤師をしてまして、勉強会などで認知症が今大変なんだという話を聞く機会が度々ありました。もう一つは、祖母が少しずつ耳が遠くなっていったり、聞いたことを少し忘れてしまったりしていて、認知症は結構身近にあるんだなと思い、何かできたらいいなという思いからこの研究をしています。

 

Q:エンパワーメント情報学プログラムになぜ入ったのか

西村:
エンパワーメント情報学プログラムは5年間一貫で勉強できるので、安定した環境で研究ができるかなと思いました。あとは、エンパワーメントプロジェクト研究(同期でチームを作り、研究を進める授業)とか、実際に企業に訪問してそこで働いてるエンジニアの方にお話を聞いたりする機会とか、普通の博士課程では経験できないようなカリキュラムやアクティビティが含まれているので、普通に博士を取るよりもいろんな能力をつけて修了できるのではないかなと思い、入りました。

桑原:
エンパワーメント情報学プログラムに入ると、普通の大学院ではできないような経験、例えば今年は授業の一環として無重力を体験してみるとか、オランダに行って現地の方と一緒に短期のワークショップをしたりとか、そのような経験をすることができるというのを入学前から聞いていました。新しいことにもチャレンジしてみたいなと思いまして、このプログラムを選びました。

酒井:
私がこのプログラムに入ろうと思った理由としては、このプログラムが心理学やデザインとか色々なことも同時に学べると思ったからです。学部時代から芸術系だったり心理学系の授業には出席して単位を取ってきたんですが、このプログラムに入ってからは、サイエンスビジュアリゼーションの研究室で話を聞かせていただいたり、デザインの方と議論する機会があったり、私の研究には副指導教員として認知心理学の先生にアドバイスなど頂いています。私の興味とこのプログラムで学べることが合致したのでここを選びました。

 

Q:文化的にも多様性のあるこのプログラムがどう自分に影響しているか。

酒井:
私は多様性があることはとても面白いと思っています。例えばエンパワーメント情報学プログラムの授業の一つで「エンパワーメントプロジェクト研究」という、同期の中でチームを組んで何かを作ろうという授業があります。私のチームは留学生がいまして、テーマとしてオノマトペを選んだんです。“ふわふわ”とか“ザグザグ”とかそういった表現は、日本人同士だと普通に伝わってしまうので違和感は感じなかったんですが、留学生に伝えようとした際に「なんなのそれ?」と言われて、簡単なとこでも案外伝わらないし、これを英語でなんて伝えたらいいんだろうって思いました。

学部の頃は、英語の授業でも「英語を学ぼう」という授業ですが、ここでは授業自体が全部英語で話されますので、初めはいっぱいいっぱいで聞き逃しちゃうこともありました。でも英語ができないとついていけないので必死に学びます。そばに留学生の友達もいるので、その人に積極的に英語で話して、もっと上手くなりたい!どうこれ?みたいにコミュニケーションをとりました。英語力はすごくつくと思います。

西村:
僕にとっては例えば日本人とか留学生とかは特に意識してなくて、同じ目的というか目標を持って研究しながら一緒にプログラムを過ごしてる仲間という感じです。これからグローバル社会になってく中でも英語でのコミュニケーション能力は基本的な部分で、そういう基本を身につけながら研究を進めていくことで、国際社会で活躍できる研究者、人材になれるのかなと考えています。

桑原:
留学生との交流以外でも、実際このプログラムには工学だけではなく色々な分野の人がいます。その人たちと話すことによって、自分の研究についてのアドバイスとかをたまにもらうことがありました。自分の研究室で話していることとは違った視点からのアドバイスがもらえたり、今まで考えてもみなかった方向からの意見がもらえるので、自分の研究生活にとって良い経験をさせてもらってるなと思います。

 

Q:今後どういう分野でどう活躍したいか

西村:
この分野は多様性とか色々な分野横断型のプログラムが組まれていて、工学だけじゃなく心理学とか医学とか芸術とか、広い分野の方と関わるチャンスが多いんです。そういう中で新しい視点をもらって、「こういう研究もあるんだ」とか「そういうところ面白いよね」って感じることがいっぱいあります。
今はロボットの研究をしていますが、5年間のプログラムが修了した後には、どんな分野でも対応できるような人材になれるように日々頑張っています。

桑原:
私は、今の社会で生きている人々が少しでも、もっと楽しい生活が送れるように、スポーツ工学の分野として、より多くの人が体を動かしてスポーツの楽しさを知ってもらいたいなと思っています。エンパワーメント情報学プログラムで、幅広い分野のことについて学べているので、その中で自分が貢献できそうな分野が新たに見つかれば、そちらの分野の方でも自分の学んできた知識や技術を活かして貢献していきたいなと考えています。

酒井:
このプログラムで求められていることの一つとして、工学に何かを掛け算したものを持つことが求められてると思います。工学だけのプロフェッショナルならば、他の学部・学科との変わりはないと思います。ここではプレゼン力や現場力、リーダーシップなど、工学の専門を持ちながら人を導いたり、ビジネスの考えを持つとかそういったことが学べると思っています。現在、将来何をしたいかは具体的には決まってないのですが、そういった力を身につけて、社会に何か貢献する存在になりたいなと考えています。