人間を補完・協調・拡張するエンパワーメント情報学とは エンパワーメント情報学プログラム
人間を補完・協調・拡張するエンパワーメント情報学とは
当プログラムの名称にもある「エンパワーメント情報学」とは、人間情報学をベースとした複合的な学問領域だ。
コンピューター、アーキテクチャ、そして通信というインフラストラクチャーとして始まったコンピューターサイエンス情報学は、今や人間に近しい形でメディアアート、知能ロボット、ヒューマコンピューターインタラクションという分野に大きな広がりを見せている。この人間に関わる情報学=人間情報学という広い枠組みの中で、「人間の機能を補完すること」「人間と機械を協調させること」「人間の能力を拡張すること」という3つの分野をエンパワーメント情報学と位置づけている。比較的新しい分野であり、広い学術領域を横断的に学ばねばならないため、博士(人間情報学)を出すことができる学位プログラムは日本では筑波大学だけである。
鈴木先生
「人間情報学という広い枠組みの中で、我々はエンパワーメント情報学=人をエンパワーする情報学というものを行っています。これを体系化しますと三つに分けられます。一つが人の能力・機能を補完するというそういう分野です。主に対象は高齢者だったり障害者であったり、つまり一般的には機能が低減したりとか失われた人たちが、技術を用いることによってその機能を補完するという役割を持ちます。人を支援する枠組みですね。」
「次が人と協調するという分野です。機械であったりとか車であったりとか工場のシステム、オートメーションもより複雑になってきました。ですから、たとえ一般の人であっても複雑なシステムは使うのは難しい。人と協調して動作するといった機械をデザインする、つまり自動運転であったりとか半自動運転がこの分野になります。」
「最後は拡張する。つまり人の能力を拡張し、まだ見ぬ人のその力を引き出すという分野です。クリエイティビティや自分の中の考えをツールを使うことによって外在化する。これも拡張の一つだと考えています。この補完・協調・拡張が全て、人を支援する=エンパワーする、という位置付けとしてエンパワーメント情報学と名づけました。」
「学生はそれぞれまずは自分の特色を持ってこのプログラムに入ってきますが、他の学生と色々やり取りをしたり、学生が主体となって自分でプロポーザルを出す研究プロジェクトがいっぱいあります。その中で違う分野の人と交流し、最終的には補完だけとか協調だけとか拡張だけを研究するのではなく、補完の支援をする研究をしていた人は拡張の応用先を見つけて研究をしたり、また拡張の研究してる人が表情とか支援の枠組みでも応用を見つけられる。5年間のプログラムの中で、この3つはバラバラでなく一体となり、技術としてグラウンドしてるんだということを気づいてくれると嬉しいなと思います。」
「補完」領域の代表的な作品・成果
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HAL® (Hybrid Assistive Limb®)
山海嘉之教授
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Cyber Protection Suit
白石僚一郎, 藤田健広, 犬塚健斗, 髙嶋倫太郎
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Stair-Rover
佐々木海
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Robot Mask
小﨑湧太
「協調」領域の代表的な作品・成果
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双対制御論的運転支援
伊藤誠教授, 稲垣敏之副学長
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ブロックマシン
岩田洋夫教授, 佐藤綱祐
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Your Pacifier
山蔦栄太郎, 杉本実夏, 荒川陸,
長沼大樹, 後雄大, 寺本将行
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idMirror
Masa Jazbec, Floris Erich
「拡張」領域の代表的な作品・成果
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Media Vehicle
岩田洋夫教授
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Big Robot Mk1,2
岩田洋夫教授
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トーラストレッドミル+リアドーム
岩田洋夫教授
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CHILDHOOD
西田惇, 佐藤綱祐, 髙鳥光
その他
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BIRD SONG DIAMOND Japan 2016
Victoria Vesna教授, EMP履修性4名, 他
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bioSync
西田惇
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CarryOtto
佐藤綱祐
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IrukaTact
Aisen Carolina Chacin, 大図岳