粘液産生性嚢胞腫瘍 膵臓がんの治療法

プロフィール

橋本 真治

筑波大学 医学医療系 消化器外科 講師

粘液産生性嚢胞腫瘍とは?

粘液産生性嚢胞腫瘍とは、膵管の中にできた腫瘍細胞が、粘液を産生することで同部位に粘液を貯めてしまい嚢胞状に膨らんでしまう病気です。

粘液とは、さらさらとした水とは異なり、どろどろとした粘性の高い液体です。本疾患の位置づけとしては、初期の膵臓がん、膵臓がんになるかもしれない病変であり、大腸ポリープの膵臓版と考えていただくと理解しやすいかもしれません。

多くの症例は、検診発見や他疾患の検査で偶然見つかる方が多いです。ですから、特徴的な症状を有する方は少ないですが、粘液産生能の高い場合は、液体の流出が滞り、膵炎のような腹痛・背部痛を起こす方がいます。

代表的な疾患と検査方法について
代表的なものに膵管内乳頭粘液腫瘍(IPMN)と粘液嚢胞性腫瘍(MCN)の2つが挙げられます。それぞれの特徴としましては、IPMNは高齢男性の膵頭部に好発し、ブドウの房のような画像所見を示します。MCNは若年から中年の女性の膵尾部に好発し、夏みかん様の形をした円形の画像所見を示します。

検査として必要なものは、超音波検査、CT検査、MRI検査で十分でありますが、私どもは超音波内視鏡(EUS)を追加で施行しております。血液検査では腫瘍マーカーも正常の方が大半です。

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