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通常型膵がんに対する放射線治療の役割

通常型膵がんに対する化学放射線治療の概要

放射線治療は、さまざまな臓器から発生したがんに対して適応があり、膵がんに対しても例外ではありません。膵がんに対する放射線治療の主な適応は、切除(手術)不能な局所進行性膵がんに対する化学療法を併用した放射線治療法(化学放射線治療)です。手術が出来ない場合でも化学放射線治療の適応となることがあります。

放射線治療と組み合わせる化学療法の薬剤として、ゲムシダビンやS-1などが使用されます。
筑波大学 医学医療系 放射線腫瘍科
教授 櫻井 英幸 先生

通常型膵がんに対する化学放射線治療の方法

筑波大学 医学医療系 放射線腫瘍科
教授 櫻井 英幸 先生

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通常型膵がんに対する化学放射線治療では、抗がん剤を併用しながら放射線治療を実施する方法が主流です。放射線治療では、がんではない部分のダメージを最小限に抑えるため、何日にも分割して放射線を照射していく方法が用いられます。一日当り1.8~2.0 Gyという線量を5~6週間をかけて合計25~30回程度照射していきます。実際の照射に必要な時間は10分~15分程度ですが、抗がん剤投与の時間も必要になるので、治療全体の時間としてはもう少しかかることになります。

膵がんに対しては体の外からX線を照射して治療します。患者さんは治療用寝台の上で。仰向けで寝て頂くだけで大丈夫です。

治療用のX線を実際に照射する前には、腫瘍に対して正しく照準が合っているか、毎回確認させて頂きます。治療用のX線は、腫瘍の形状に合わせて細く絞ってあり、4方向程度、照射する方向を変えながら照射します。

治療に際しての注意点

放射線治療では、がん病巣には多くの線量を集め、正常組織への線量はなるべく少なくすることが基本です。これは膵臓がんに対しても同様です。実際に照射するビームの形状は、ミリメートルレベルで詳細に成形しています。

ただ、膵臓の周囲は胃、十二指腸、肝臓、腎臓などの重要な臓器が取り囲んでいることに注意しなければなりません。これらの臓器は、一般に放射線に対して弱いため、放射線による副作用が出る場合があります。

最も多く出る副作用は、吐き気、食欲不振などの上部消化管症状ですが、これらに対しては、粘膜を保護する薬や吐き気を抑える薬によって対応できますので安心してください。

また、まれに放射線が当たっている部位に皮膚炎が出ることもありますが、症状は軽度です。担当医は定期的な診察を行い、こういった副作用に対して全て対処させていただきますので、安心してください。
筑波大学 医学医療系 放射線腫瘍科
教授 櫻井 英幸 先生

新たな試み

筑波大学 医学医療系 放射線腫瘍科
教授 櫻井 英幸 先生
通常型膵がんに対する放射線治療の新たな試みとして、粒子線(陽子線、重粒子線)を用いる場合や、温熱療法を併用する場合があります。

粒子線も放射線の一種ですが、透過力が強くがん病巣を突き抜けるX線に比べて、がん病巣でピタッと止めることができる特徴があります。そのため、X線に比べ、周りの正常組織に与える線量を抑制することができます。

温熱療法とは患部を温める治療法で、放射線や化学療法による効果を増強できることが期待できます。温熱療法には目立った副作用がなく、放射線治療が終わった直後約1時間程度、1週間に1~2回受けていただくことで効果が期待できます。

筑波大学附属病院では粒子線の一種である陽子線治療や、温熱療法を組み合わせる新たな試みも行っています。いずれの治療法についても、適応の可否には専門医の判断が必要となりますので、ご相談いただくようお願いいたします。
(陽子線装置)
(陽子線装置)
(温熱療法装置)
(温熱療法装置)
教授 櫻井 英幸 先生
プロフィール | Profile

筑波大学 医学医療系 放射線腫瘍科
教授 櫻井 英幸 先生
日 付: 2015年8月25日

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