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膵神経内分泌腫瘍の内科治療とは

完全切除の不可能な場合の治療

膵臓の腫瘍が周りに広がりすぎている場合や、取りきれない数や場所に転移してしまった場合は手術以外の治療となります。

その目的は大きく2つあります。1つは腫瘍に伴う症状を抑えることで安心して楽に日常生活を送っていただくこと、2つ目は腫瘍の進行を抑えることで寿命を長くすることです。

しかしながら、手術ができないからといって、すべての患者さんに治療を急ぐわけではありません。治療の計画はグレード1、2の進行の遅い膵神経内分泌腫瘍とグレード3の進行の早いの膵神経内分泌がんで大きく異なります。
筑波大学附属病院 消化器内科
病院講師 山本 祥之 先生
筑波大学附属病院 消化器内科
病院講師 山本 祥之 先生

進行の遅い膵神経内分泌腫瘍に対する内科的治療

症状のない非機能性で、かつ全体の腫瘍の量がさほど多くない場合は、定期的に画像検査等を行い、問題となる病気の進行がみられてから治療が開始されます。

一方、症状のある機能性膵神経内分泌腫瘍の場合は各症状に対する適切な治療を行います。

  一般的には、現在膵神経内分泌腫瘍には保険適応外ですがソマトスタチンアナログと呼ばれる薬剤が用いられます。

これは過剰に産生されるホルモンに対する分泌抑制効果があるとともに、腫瘍の増殖も抑える効果が期待されます。また個別には、インスリンが過剰産生されるインスリノーマに対しては、低血糖発作時にはブドウ糖を補充し、加えて発作予防のためにジアゾキシドと呼ばれる薬剤を用います。

胃酸の分泌が増えてしまうガストリノーマに対しては、胃酸分泌を抑制させるプロトンポンプ阻害剤を用います。その他の種類の膵神経内分泌腫瘍に対しても個別の特徴的な症状に対して、それを緩和させるための治療を用います。

効果が期待される抗腫瘍薬として小分子化合物と呼ばれる新しい薬があります。エベロリムスとスニチニブと呼ばれる2種類の薬です。これらの薬は飲み薬ですので自宅で治療ができ患者さんにとっても負担の少ない治療です。

しかしながら副作用として、白血球や血小板が下がったり、貧血を来すことがあるため定期的に通院して採血検査をする必要があります。また口内炎や薬によって引き起こされる特別な肺炎などに注意する必要もありますので、主治医の先生にしっかりと診察してもらいながら治療を続けてください。

  またストレプトゾシンと呼ばれる点滴の抗がん剤も2015年より日本でも使用可能になりましたので治療の幅が広がりました。これらの薬を用いた治療のほかにも様々な治療があります。それは肝臓に転移した腫瘍に対する治療です。

例えば、肝転移の腫瘍に栄養を送る血管に直接抗がん剤を流したり、ゼラチン状の薬を流して血管を詰めてしまい兵糧攻めにする動脈塞栓化学療法と呼ばれる血管カテーテルの治療があります。また、超音波装置を用いて皮膚の上から特別な針を肝転移の腫瘍に刺して焼き切ってしまうというラジオ波焼灼術を行ったり、手術でとれる範囲の腫瘍をできるだけ切除する減量手術が行われることもあります。

進行の早い膵神経内分泌がんに対する内科的治療

膵神経内分泌がんの場合は非常に進行が早いため、強力な抗がん剤の治療が必要となります。

保険適応外ですが、膵神経内分泌がんに性質のよく似た小細胞肺がんと呼ばれる特殊な肺がんに対する治療と同様の抗がん剤を組み合わせた治療を行います。

病気の広がりの程度によっては放射線と抗がん剤を組み合わせて治療をすることもあります。

このように手術ができない場合の治療には様々なものがあり、それらは症状の有無、病気の広がりの程度、悪性度の違いにより患者さん毎に異なってきますので、主治医の先生とよく話し合って最適な治療を選択してください。

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病院講師 山本 祥之 先生
プロフィール | Profile

筑波大学附属病院 消化器内科
病院講師 山本 祥之 先生
日 付: 2015年8月25日

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