image_hatano_ph

筑波大学オープンコースウェアでは、学問の拡がりと最先端の研究を体験・理解してもらうために、実際の大学での講義と共に、さまざまな分野の研究者を紹介している。本特集では、「データが切り開く未来のサイエンス」をテーマに、4人の女性研究者に焦点を当てて紹介する。

ビッグデータが切り開く未来のサイエンス

これまでの時代、さまざまな研究分野において収集可能なデータ量やコンピュータの性能不足により、分析可能なデータが限定される場面も多かった。
しかし、ここ十年、コンピュータの計算速度、転送速度、保存できるデータ量が飛躍的に向上し、さまざまな分野で莫大なデータの生成と解析が可能となる時代に突入した。いわゆるビッグデータの時代の幕開けだ。

現在、私達が直面しているのは、「データがたくさんあるけれどどうしたらよいかわからない」というこれまでに無かった問題である。
image_hatano_ph

現代の研究者はこの問題にどう立ち向かっているのか。ここで大切な視点は、莫大なデータの上の新しいサイエンスの成立だ。 量・質ともに多様となったデータの世界はどんなサイエンスを作り出すのか。この難しい挑戦に、いま研究者たちは立ち向かっている。

本特集では4つの異なる分野で活躍する研究者を紹介し、ビッグデータが切り開く未来のサイエンスについて考える。


女性研究者が探るデータの未来

4人の研究者のインタビューでは、それぞれの研究や、課題を解決するための数理モデルなどの「鍵」を発見した時の感動が語られている。

読み解くモデルを発見する

社会経済物理学の佐野先生は、インターネット上の「ブログ」の書き込みデータを解析するために、自然の現象を再現させる数理モデルを応用し、「日常語」のゆらぎをモデル化した。また、ブログの書き込み量と、物質の帯磁率の形が似ていることから、物理的は現象から普遍的な予測モデルが発見できる事を実証している。

モデルを応用し、研究を推進する

高レベル放射性廃棄物などの環境動態の研究に取り組んできた羽田野先生は、偶然入手したチェルノブイリ原発事故のデータの解析結果のフラクタル性から、長期予測を可能とする数理モデルを導き出した。そのモデルは、その後福島原発事故の放射性物質の動態予測を実現し、復興に向けての重要な分析結果を導きだしている。

研究データと出会える環境をつくる

図書館情報メディア研究科の池内さんは、オープンアクセスや、オープンデータのあるべき姿を追及している。研究者が等しく論文や生データにアクセスでき、分野や国境を越えた研究を支える大学図書館のしくみを構想。それによって、学術研究の先にある一般市民が関わることのできるオープンサイエンスの未来も見えて来る。

データに対する感性を磨く

音響工学をバックボーンとする寺澤先生はデータを音で聞くことのできる「可聴化」から、もっと高度で複雑なデータを人が知覚できる方法を探っている。「鍵」となるモデルを発見したストーリーからは、生データに触れたときにどのように「感じる」ことができるかということが、研究者の重要な資質であることが見えて来る。オープン化によりデータと人との関わりの密度が高くなる未来は、私たちのデータを理解する方法そのものが変わってきているかもしれない。

人間社会の営みの中に自然法則を見つけ出す 佐野 幸恵

人間社会の営みの中に
自然法則を見つけ出す

筑波大学 システム情報系 助教
佐野 幸恵
良い道具”であるための研究をしたい 羽田野 祐子

“良い道具”であるための
研究をしたい

筑波大学 システム情報系
准教授
羽田野 祐子
image_hatano_ph

大学図書館が担う、
分野を超えた知の可能性

筑波大学大学院図書館情報
メディア研究科博士後期課程
在学中
池内 有為
image_terasawa_ph

データに秘められた
メッセージを受け取るための「新しい表現」を探る

筑波大学
図書館情報メディア系 助教
寺澤 洋子

4人の研究者のストーリーを通じて、データと社会との新しい関わり方の未来が想像できるのではないだろうか。


人間社会の営みの中に自然法則を見つけ出す 佐野 幸恵
良い道具”であるための研究をしたい 羽田野 祐子
大学図書館が担う、分野を超えた知の可能性 池内 有為
データに秘められたメッセージを受け取るための「新しい表現」を探る 寺澤 洋子